感想 / 出会って4光年で合体

出会って4光年で合体(太ったおばさん)

https://www.dmm.co.jp/dc/doujin/-/detail/=/cid=d_278002/

リンク先はR-18ページ。

この記事にはネタバレがあったりなかったりしますが読んでいないうちは全く分からないしこんな記事を読んでもこの作品については全く分からないので気にしなくていいですよ。

本当に感想なのでまとめとか考察もないです。

 

これは例えるなら眠る前に空想する荒唐無稽な物語をきちんと成立させて描き切って完結させた作品で、エロ漫画を読んでいるうちに急に遠いところに連れていかれる。

98ページ(単頁)で奇跡が起こって、そこで読み切る覚悟を決め、最終盤、それが本当に奇跡だったことが分かってたまらない気持ちになって、救われたなぁ、と思った。

 

この作品は超~大作の同人ポルノエンタメで、一人の誠実な男性の人生を丁寧に追いながらやがて不可思議な伝奇とSF世界に接続して愛によって救われる話。

私は一度しか通して読んでおらず、また作中の絵や文字すべてを精読したわけでもないが、半信半疑で読み進めて98ページを見てから、あとは引き込まれるように最後まで見た。 そう、読んだ、というより、この作品を見た、が一番感想として近い。

 

漫画、と言うにはあまりにも文字が多く、文字ばっかりで、文字だけのページもあり、表現が極めて難しい。 これは……何ですか?  ビジュアルノベル

場面転換や何の解説か分からない台詞の羅列に混乱しているうちに読み進めるうち、急に答えが渡されたり更に分からなくなっていく体験を経て、この発想を作品として作り切った作者の熱量に驚きながら読み終わった。

 

全体的な雰囲気は往年流行ったエロゲ(Fateとか車輪の国とかCROSS†CHANNELとかさよならを教えてとか)。 主人公の親友である長宗我部真男の存在が特にそう思わせる。

他の人の感想を見ていると同様に感じている方が多かったので、そういった雰囲気作りを意図しているかは分からないけど、当時の「作家性全力で書きたいものを書く」という"力"を今この時代にもう一度感じてみんなビビっている。 「太ったおばさん」という作家に。

尖った作家性で自分の好きなように書く、という意味ではファイブスター物語が好きな人も多分惹かれるものがある作品だと思う。 そんなことを言っている人は誰もいませんでしたが……。

「出会って~」は純粋にエロ目当てで読むと面食らうだろうけど、エロと救いがきちんと物語として直結して成立しているので成人向け媒体として出す意義を感じる。 エロシーンは少ないけどちゃんとエロいし、最後のエロシーンのために今までこの作品で描かれてきたすべてがあるので大丈夫ですよ。

 

誠実な人は救われてほしい。 多分みんなそう思っていて、この作品で描かれるメインの男女はものすごく純粋で誠実で、成人向け漫画を読む大人にこんなに誠実な人間性を見せられたらもうたまらなくなってしまう。

その誠実さと純粋さで一番たまらなくなったのが98ページの願い。

これが奇跡じゃなかったら、愛によるものでなければこの世はもう全部嘘だよ。

 

178~179頁も初見では「???」だったけど、今見返したら「!」くらいにはなった。 その後の網野と土神の話も。 分かっていくのは心地よい。 ばらばらだった物語がだんだんひとつになっていく。217頁も。 これ最初からバシっとはまってたら最高だっただろうな……二回目でも最高です。

 

後半怒涛のSF展開で脳の容量が追い付かなくなるけど、この世界のすべてが誠実な人を救うために動いていて、その理由付けに展開が使われている。 どこまでも自分よりも他者を慈しむ誠実な人間を救いたくない人なんていますか?

本当に極端なことを言ってしまうとこの展開をすべて理解する必要はなく(できる人間のほうが少ないと思うが)、雰囲気で「なんかすげぇことが起こっている」ことが理解できればよい、という表現でもあるんじゃないかなー。 ひとつひとつ描かれていることを紐解けばきっとすべてに理由付けがされていて、解けた瞬間めちゃくちゃ気持ちいいのだろう。

この作品は含まれている要素がとにかく多くて、作者の膨大な知識と発想に追いつく頭と教養が足りていないことが悔やまれる。

 

海苔修正が必要ないのでは? という部分に掛かっている修正が「銀河鉄道のレールを模しているのでは」という考察を見てまたひっくり返った。 そ、そうかも……。成人向けであることを利用した表現、どうやったら思いつくんだろう。

確認したら121頁には修正がないので、なんらかの意図がある表現ですね。

 

読み終わって少し時間を置いたらクエンの花言葉を調べてみてね。