2025年4月12日~2025年4月13日の記録です
異端の奇才 ビアズリー展
昔も三菱一号美術館でビアズリーのサロメを見たことを覚えている。サブカル好きはサロメとビアズリーを通るから私も例によって好きではあったが、作品で言えばサロメとイエロー・ブック程度しか知らなかったのでたくさん見られてありがたい。
小さな原画に刻まれた白と黒のコントラストは私が古くなっても変わらずずっと鮮烈なままで、25歳の若さでこの世を去った人の作品が今まで守り続けられている理由が嫌でも分かる。展示のタイトル通り「異端の奇才」そのままの人だ。
この展示はビアズリーの作品だけでなく他の作家の作品や当時の風俗をなぞるものも多くあり、特にモローが描いたサッフォーと「牢獄のサロメ」が良かった。
隣に「ヘロデ王の前で踊るサロメ」があったようだったけど、私が行ったときは展示期間終了で見られなかった。サロメをファム・ファタールとして描いたのはモローだそうですね。
ワイルド自身はビアズリーの絵を好まず、モローに描いてほしがっていた……という話も面白い。私のワイルドのイメージは相当癖の強い人物なので時代の主流とは変わった表現も受け入れる器があったんじゃないかと思っていたが、そこは芸術家としての凝り症というべきか、捨てられないこだわりのほうが強かったんだろう。
原田マハの「サロメ」も面白かったな。あれはかなりワイルドの話だった。
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展示はビアズリーの年月に沿って進むが、私は絵としては初期の緻密に書き込まれた繊細な線が好きで、「アーサー王は、唸る怪獣に出会う」「ジークフリート第二幕」の二枚は特に良くてポストカードも買った。大元のストーリーも好きだし(オタクだから……)一枚の絵としての構成がよい。
後半の「愛の鏡」、「髪盗み」はデザインとして好き。本の表紙になっている実物を見ると、こうやって存在していたんだなぁ~と感慨深い。当時の本は重厚だね。
こうして見ていくと現代の「イラスト」はミュシャとビアズリーで一度完成しているな。要素としてはここに日本の浮世絵が入って来たりなんかいろいろあるのだろうが、写実ではない要素の省略として引き示される線としての一種の到達点なのかもしれない。
展示後半には「寿命がつきる間際になって処分することを望んだ「卑猥な絵」」のコーナーがある。その作品が現代まで残され、遥か異国の地で見知らぬ大勢に向けて張り出されているのはビアズリー本人の望むところではないのだろうなと思った。遠くの地ではるか昔に死んだ人間の尊厳は失われている。
私も区分けされていた展示室に入ってしまったから何を言える立場でもないが、見ないほうがよかったと感じている。それは己のビアズリーのイメージへの棄損などではなく、作者が処分を望んだものを見てしまった自分への嫌悪が近い。
ショップではポストカードとステッカーを数点購入。ステッカーはスマホケースに入れた。私は美術館に行ってポストカードを買うのが好きだったことを思い出した。
平野耕太 大博覧會
東京会場の終了一日前に行ったが入場待ちから列を為しており、平野耕太という漫画家の威力を改めて思い知る。私はオタクで、オタクは全員HELLSINGを読んでいると思い込んでいたのだが近くのオタクは全然知らない、みたいな過去があり、今ここに存在している全員HELLSINGとドリフターズを読んでいるんだ……と列に並びながら勝手に感動していた。なにぶん過激な内容で万人に勧められる作品ではないけど、キャラクターの格好良さや台詞の言い回し、なにより現代ではなく連載当時の時代だから描けた創作としての自由がある。
原画は当然だがHELLSINGが多く、目の前で見ると平野耕太はキャラクターのシルエット取りが抜群にうまく、歌舞伎の見得のような格好良さを切り取る画面構成能力が頭抜けていることが理解できる。
本として手元にあると作品として綺麗にまとまって見えていたが、原画では原稿用紙を塗り潰す勢いの黒、線の流れは美しいのに力強く引かれた線が発する絵の”圧”が凄まじい。まさしく「力」がある。
漫画の原画を見るとキャラの表情がより見えるような、なんだか不思議な感覚になる。自分もデジタルで絵を描くし、紙とデジタルの作品に(作者が誰であれ)優劣はないと思っているが、自分がここまでの作品を描けるか?と言われたら例え正確に模写できたとしてもこの”力”は出せない、と断言できる。これは絶対に平野耕太にしか描けないのだ、と原画には印刷上で見ていても拾えなかった感覚があった。
『BLACK LAGOON』作者の広江礼威氏が「平野君はずっと本気で漫画描いていてすごい、こういう漫画を若い頃と同じように描けることはすさまじいし、遅筆は仕方ないと思う」といった投稿をしていたが、原画を見ればそれが実感として理解できる。作品の力を失わずに描き続けるのは本当にすごいことだ。
原画以外ではキャラクターを立て看板にして展示があり、これも作品を思い出せてかなり良かった。


私はやっぱりセラスがベルナドット隊長の血を飲むシーンが大好きで、その原稿を目の前で見て思い出して泣きそうになっちゃって写真は撮れなかった。すごいすごい大好きなシーン。吸血鬼になってなお「夕暮れをおっかなびっくり歩く」ような様子だったセラスがいまだ少女の内面を保ったまま隊長の血によって初めて「化け物」になることを受け入れた様子がいいんだよな~……すみませんオタクが出てしまって……
音声ガイドは混んでいたので借りなかったんだけど聞けばよかった。バレンタイン兄弟による展示内容とは全く関係のない寸劇だったらしい。面白そうじゃん……予定詰めすぎて反省。
グッズは需要に対して全く供給が足りておらず売り場はすっからかんだった。こんなの初めて見るというレベル。作者曰く「売れると思ってなかった」らしいが、その自己評価の低さは一体……。
会場で受注も行っていたが、大阪会場の後で事後通販が行われるそうなのでそちらで欲しいものを買う。一番欲しかったリップヴァーン・ウィンクルのTシャツ、初日に売り切れて悲しかった……

グッズ付き入場特典で引き換えたアンデルセンのバイヨネット型ペーパーナイフ(とビアズリー展で買ったステッカー)。
お豊の刀が良かったかな~と寸前まで思っていたが展示を見てやっぱアンデルセンだわ……と噛み締めた。いややっぱり両方欲しかった。一人で二人ぶんのチケット買って引き換えるの、アリだったのか?
西洋絵画、どこから見るか?―ルネサンスから印象派まで
見るか寸前まで迷ったが見た。時代に沿って西洋絵画が展示されていく構成。
最初は宗教画が多く、私はキリスト教徒ではないが趣味でちょっと調べることがあり本当に若干ではあるが知ってはいたので特に面白く見ることができた。
宗教画は特にそうだが描かれている人物が持つ小物や一緒に配置されているものにも意味があり、鑑賞している海外の方が子どもに「キリストはどれ?じゃあマリア様は?」というような話をしていて、教育が行われている……やはりこういう勉強するんだなぁと意図せず文化の違いを感じられる貴重な体験をした。
「どこから見るか?」というように、たまに作品の横に質問のようなものが添えられている。三角形の作品の横に「なぜ三角形なのでしょうか?」みたいな。
それが宗教画(「父なる神と天使」)なら三位一体を意味してるんじゃないっすか~というようなことを考えながら見た。これが合っているのかは分からない、解答はないから……。
展示は絵画そのものの解説よりもその時代、描かれた当時の環境や国勢や風俗があって出来ているんですね、といった解説が多くて楽しめた。オランダ(ネーデルランド)は特に写実的で緻密な書き込み描写が多いなど(展示にはないけど、ブリューゲルの「バベルの塔」とか)。タイトルの「どこから見るか」、かなりうまいことやっていると思う。
展示テーマの解説を読むことで宗教画や貴族の肖像だけでなく芸術が一般市民の娯楽にもなり、今まで描かれてこなかった静物画が出てきて~みたいな美術史にもかなり興味があるな~と自覚できた。

この絵の色彩とコントラストが好き。
「神の仔羊」という頭上に光輪を持つ羊の絵があり、私は元々この絵が好きであ~仔羊は犠牲の象徴でありこれはキリストの犠牲という意味も含んでいるんすね~って己の知識を回想しながら見る絵画体験かなり良かった。知っていると見方も変わってくるのかな。今後も興味を持って色んな絵を見ていきたい。
女性作者の自画像や作品もあり、当時の芸術界でやはり女性は女性であるというだけで評価されなかったようだが、少なくとも今見るその作品が男性作者のものと比較して劣っているようなことはないし、むしろ当時安くもないカンバスと油絵の具を潤沢に使えてなお現代まで作品と名前を残したこの女性は一体……と後から調べたりもした。知らないことが山ほどある。
この展示は撮影可能だったので多くの人が写真を撮っていた。入ったばかりの最初のフロアでは入場者がこぞって撮りたがって混雑していたが、フロアが移るにつれ各々が興味惹かれた作品だけを撮るようになっている様子もいい。
私が好きになる作品はだいたいポストカードになっているのでそれを買うのだが、買うのとは別に撮るのは体験として純粋に楽しい。作品名のパネルや解説も一緒に写せると読み返すこともできるし。
ミュージアムショップでは「神の仔羊」をモチーフにしたぬいぐるみが売られており、かなり心惹かれたが耐えてポストカードだけを買った。でもいまだに欲しいから買えばよかったかもしれない。可愛いと言っていいのか疑問だが、確かに可愛さと儚さと神聖さがあっていいんだよな、キリスト教の羊モチーフは……。
ゲーセン(池袋ラウンドワン)
年下の友人とゲーセンで3時間くらい遊んだ話をしたら「中学生の遊び方すぎる」と言われてその通りすぎて爆笑した。いいでしょ~。

ジャケットイラストかっこいい~
池袋ラウンドワンはまさに都会のゲーセン!という印象そのままで、音ゲームが山ほどあって最高だった。PASELIチャージ機には散々無反応喰らってキレていたが。私の指の脂がないってこと!?(そう)
今回は一つの機種をめちゃくちゃ遊ばせてもらったけど、今度は自分がメインでやってるゲームも遊びたいな~。みんなゲーセン行って遊びましょう。
SMITH TEAMAKER(渋谷スクランブルスクエア店)
茶葉の販売とカフェがあり、茶葉で気になったものがあったのでカフェで飲んだ。混雑していて結構提供まで時間がかかったので時間に余裕を持って行ったほうがよさそう。

飲んだのはチョコレートペパーミントプーアル。茶葉を嗅いだらその名の”すべて”の要素を感じ取ることができたが、カフェで飲んだらミントは遠くへ行ってしまっていた。でも飲んだお茶の印象はよかったです。プーアルというお茶が有する独特なクセの強さは鳴りを潜め、添加のフレーバーと調和して想像より尖った味ではなかった。私は猫舌なんですけど、提供マグの厚みがかなりあったからか受け取ってすぐのお茶でもするっと飲めたのもありがたい。
次の用事への時間が迫っていたことと今欲しいお茶はシンプルな常飲用だから今回は茶葉を買わなかったけど、また行けたらいいなー。お茶好き。
終わり
今回はいろんな所を歩き回って沢山見られてよかった。「士郎正宗の世界展」は開催を知ったのがギリギリすぎて見られなかったのが残念。
修理に出していたピアスを引き取りがてらホールの様子を見てもらい、「ホールがカラっとして安定してきたね」とのことで一安心。開けたの2023年の年末だからそろそろ安定してもらわないと困るが。
ファッション系の買い物は全然しなかった。サングラスが見たくてバレンシアガに行くもその店舗にはあまり在庫がなかったし、化粧品のフロアをぐるぐる回っても特段興味を惹かれる場所がなかった。そういう時もある。
宿泊ホテルの近くにまいばすを発見して嬉しくなってそこで買い物してホテルで夕飯食べた。美味しいお店を探して行くのもいいが、私はソロビジホ泊なら何も考えずに買った食べ物を全部机に広げて部屋着に着替えて1時間くらいテレビ見ながらダラダラ食べるのが大好きなので……
最後はエシレのビスケットとフィナンシェをお土産に買って帰宅。また楽しいことをしに来よう。

